人材求人サイトをWordPressで制作するのは要注意!

WordPressを使い、コーポレートサイト・ブログ、色んなWEBサイト等を簡単に作ることができます。しかし、人材求人サイトをWordPressで作ることは非常に危険です。ブログや単純な企業サイトなど増えていくのが記事や支店の紹介ページぐらいのWEBサイトであればWordPressは大変便利ですが、人材求人サイトはそんなに単純ではありません。

しかし、なぜWordPressで人材求人サイト作ってしまうのか、またWordPressを使うことがどれだけ危険なのか、私の経験を踏まえて解説していきます。また、この記事は2018年ごろに制作し2022年4月時点でのWEB状況をとらえて更新しましたので安心して参考にしてください。

なぜ、人材求人サイトをWordPressで作ってしまうのか?

人材求人サイトのレベル

人材求人サイトのレベルは企業のコーポ―レートサイトやブログサイトと比較するとかなり高度で料金が高くなります。

人材求人サイトはブログや企業サイトのように記事の更新だけのサイトとは異なり、毎日大量の求人情報の追加・変更・削除があります。求人情報の更新だけではなく、求人情報に基づく検索機能や、地域・交通(主に鉄道)・雇用形態・特徴などのカテゴリページが複雑に構成されひとつの求人サイトになっています。
また、求人サイトとして機能するためにはたくさんの求人を掲載しないとメリットがなくなり、市町村マスター、駅マスター、路線マスターとなる膨大なデータベースが必要になります。最近ではWEBサイトに対するGoogleの求める水準も高く、求人だけでなく新しい情報を発信し続けなければうまくいきません。

特に求人サイトレベルになると、

  • 制作スタッフはサイトの基本構造を考えられるスタッフ
  • サーバの設定やプログラミングが出来るスタッフ(安全に高速な処理が必要)
  • デザインができるスタッフ
  • 文書を書くスタッフ

などすべての分野において高いレベル(プロフェッショナルなレベル)のスタッフが必要で、社内にそんなスタッフがいればすべて自社で制作することができますが、ごく一部の企業を除き各分野で優秀なスタッフが揃っている会社はありませんのでほとんどが外注になります。

いつの間にかWordPressを選んでいる

外注になりますので、制作会社を探すためにGoogleやYahooで「求人サイト 制作」を検索します。するとCMS機能(簡単に情報などの変更が出来る機能)の付いた求人サイトを制作してくれる会社などがヒットします。機能も豊富でWEB上で求人の掲載管理や求職者の管理ができるシステムがほとんどですが、いずれもコストを抑えるためにWordPressやPHPを使用してサイトを制作する会社が多く、知らず知らずの内にWordPressで求人サイトが作られてしまうのです。

さらに、デモや実績を見てみると人材紹介業をやっていくのに1番必要な求職者の登録を考えていない構成になっています。

確かに機能が豊富で求職者の管理がしやすいのは魅力に思えるかもしれません。しかし、私の経験からしますと求職者の登録がなければ、管理しやすい機能がいくらあっても無意味です。
人材求人サイトの役割は求職者の登録をとることが100%です。「求人サイト 制作」を検索してヒットした会社の実績をみると、機能は豊富ですが求職者をとることに対しての追求ができていない。そんな求人サイトがほとんどでした。アナログで管理できることはアナログで管理すれば良いのです。まして、求職者が取れないサイトに求職者の管理機能があっても・・・。

WordPressが人材求人サイトに向かない7つの理由

WordPressが人材求人サイトに向かない理由は7つあります。

① WordPressのバージョンアップ

② PHP(WordPressのプログラム言語)のバージョンアップ

③MySQL(データベース管理システム)のバージョンアップ

④プラグイン(個別の機能)のバージョンアップ

⑤ 表示速度が遅い

⑥ サーバーに負荷がかかる

⑦通常のサイトよりも金額が高くつく

バージョンアップの問題

特に①~④は、ひとつひとつの問題ではなく、どれか1つがバージョンアップした場合、残りの3つのバージョンが新しい機能に対応できず、新しい機能が使えないばかりが、今までの機能も使えなくなり、最悪の場合はページが表示されなくなってしまうこともあります。

それならば、バージョンアップをしなければいいのではないか?ということになりますが、WordPressは全世界で普及しているCMSで、WordPressで使われているプログラムはPHPといいこちらも全世界で普及しているオープンソース(無料で誰でも使えるプログラム)なので、エンジニアが多く開発環境も整っていますが、その分ハッキングなどの対象となりやすく、見つかった脆弱性をカバーするためにバージョンアップが頻繁に行われます。このバージョンアップを行わないと、ハッカーの的になり、個人情報の流出やWEBサイトの改ざんなどが行われ、改ざんされたサイトを足場に他のサイトや利用ユーザーへの攻撃などの危険性があります。少し探せばWordPressで作られたサイトを攻撃するフリーソフトもあります。

また、WordPressは変化に弱いところがあります。
WordPressはプラグインを自由に入れたりカスタマイズが出来て自由度が高いと思われがちですが、実はとても変化に弱いのです。WordPress、PHP、Mysql、プラグインが重なり一つの動作や表示をおこなうので、元を変更したせいで違うところにバクがでてきたりという話をよく聞きます。そしてその割には制作費が高いということです。

表示スピードの問題

⑤については自分のサイトだと特に何も思いませんが、ユーザー視点になって考えてみてください。転職でなくてもごく普通にインターネットショッピングをしているときに、ページが開くのが遅いときにあなたはどうしますか?待ちきれなくてそのページは諦めて違うページを見に行きませんか?この表示が遅くなることもWordPressに汎用性を持たせるための構造になっているのでどうしても遅くなるし、求人データ、市町村マスター、駅マスターなどデータが多くなり、ページの表示が遅くなります。たとえ検索結果で1位が取れたとしても、サイトを見る前に諦めて去って行ってしまうのです。

10年以上前にAmazonがテストした内容によると、0.1秒表示が遅くなると1%の売り上げが減ったそうです。1秒遅れると10%の売り上げが減ることになり、年商1億円の企業なら1,000万円の売り上げが表示スピードが遅いために失われます。

この結果は10年以上前のデータですし、ECと人材紹介では必ずしも一致するとは言えませんが、基本的には人間の心理は同じです。表示が遅ければ違うサイトを見に行きます。ブラウザの戻るボタンを押して、少し下にあるリンクをクリックするだけですから。

高負荷の問題

⑥については⑤と似ている部分がありますが、サーバの負荷が高くなることによってサイト全体のパフォーマンスに影響が出てきます。

サーバへの負荷が高くなると、ページの表示にも影響しますし少ない人数でサーバが処理できなくなり、場合によってはサイト全体が見れなくなることもあります。これもやっぱり、WordPressの汎用性にも関係があります。データはMysqlに入っているものをPHP、WordPressを通して持ってくることでサーバーへの負担が大きくなります。求人数が少ないのであれば大丈夫です。

WordPressがなぜ変化に弱いか

WordPressはPHPという言語でできており、WordPressの基本システムにプラグイン・テーマというパーツを入れることによりwebサイトを完成させるシステムです。

お問合せプラグイン・SEOのプラグイン・スパム対策のプラグインなどがあり、満足のいく機能を付けようと思うと20~30個のプラグインを利用することになります。フリーから有料まで5万個以上のプラグインがあり、仕様変更が急に行われたりします。

プラグインのほとんどは英語(日本語以外)が多く、インストール方法や利用方法が分からないことも良くあります。

メリットとしてはプラグインを使うことで制作日数を短くできますが、前に説明したとおり各バージョンアップにより動かなくなるという最大のデメリットがあります。(外注業者は制作日数を縮めることに大きなメリットがあります)

WordPressで作られているが認識がない現実

WordPressを理解すればするほどWordPressで人材求人サイトを作る気にはなりません。しかし、私が出逢った人材紹介・派遣会社の社長さんのほとんどが自社の求人サイトがWordPressで作られているという事実の認識がありませんでした。さらにWordPressという存在自体を知らない方もいらっしゃいました。

中小企業の社長は特に忙しく求人サイトについて勉強する暇などありませんのでこのような状態になると思われますが、この場合ほとんどが2年程度でWEBサイトを取り巻く様々な変化で求職者の登録が少なくなったり、デザインも古臭くなってしまいます。

WEBサイト制作の現実

ここまで、WordPressについて散々なことを書いてきましたが、WordPress自体は本当に素晴らしいシステムです。短時間で簡単なWEBサイトやブログを作るのにはとても向いています。ただ人材求人サイトには向いていないということです。

しかし、WordPressを使わずにしっかりとした人材求人サイトを制作すると500万円以上はかかると思います。場合によっては1,000万円以上必要でしょう。プラグインを使わず各機能を作りこみしていけば制作日数も増え、賃金の高いエンジニアのコストが上がるからです。

そして一番最悪な状況は500万円以上をかけWordPressを使って人材求人サイトをつくってしまった社長さんです。私の周りで多くみてきました。
WordPressを中心に仕事をされている制作会社にはこの記事はおもいっきり否定されるかも知れませんが、これはあくまでも人材ビジネスを13年間WEB上でやってきた経験からの意見です。

WordPress以外でも外注(制作会社に依頼)すればPHPでつくるエンジニアがほとんどです。PHPは様々なエンジニアが自作のコードを公開していたり、日本語でのマニュアルも充実していて素人や初心者でも比較的簡単に開発ができる環境の為、日本でもエンジニア数が多い言語だからです。

しかし、レベルも様々です。素人や初心者でも開発ができる分、不完全なコードや古いコードも多くバージョンが変わることでエラーが起こり、バグを修正するのが大変になります。

PHPは柔軟な言語のためJavaなどと比べると、やはり厳格性が無いので不完全なコードができるということなのでしょう・・・。私もエンジニアではないですしこれ以上の深い話は難しくなるだけだと思いますので終わりにしておきます。

まとめ

WordPressを基本システムに使用して求人サイトをつくるとWordPress、デ-タベース、PHP、プラグインのバージョンアップの度に苦労する。また、簡単に構造・デザインの変更ができないことから長期運用することに向いていません。求人サイトを作る際には複数社に医療のセカンドオピニオン的に相談をしてみるのもひとつの手段かもしれません。

これまでWordPressを否定してきましたが、このコラムはWordPressでできており、利用をブログ、コラム、ニュース配信程度にとどめておけば非常に便利で優れものです。当社でも人材紹介以外でも何度も痛い目にあって、この結論になりました。

WEBの世界はとっつきにくい世界だと思いますが、「WordPress 更新」で検索するといろんな記事がありますので参考に読んでみてください。知識を得ることも求人サイトの制作をする上で失敗しない重要な要素です。

ナレッジルーム採用WEBマーケコンサルタント 石井

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