この記事は、2018年9月に執筆されたものですが、現在(2024年11月)、人材ビジネスの環境は大きく変化しています。そのため、この記事も現状に合わせて内容をアップデートしました。
もし、今のビジネスに行き詰まりを感じ、新たに人材紹介事業に挑戦しようと考えている方や、「人材紹介は儲かるのでは?」と思われている方には、ぜひ現実的な観点でご一読いただければと思います。
人材ビジネスをスタートする際に重要なのは、「どこから、何を始めるか?」というポイントです。
そして、事業成功の鍵を握るのは、「求職者の登録をどれだけ獲得できるか」という点に尽きます。
人材紹介ビジネスにおいて求職者の獲得は最も困難な部分であり、成功を左右する要因です。
もちろん、紹介先や求職者への対応方法については、さまざまなセミナーや書籍で学ぶことができますし、契約書などの必要書類の作成もテンプレートを活用することで問題なく対応可能です。
しかし、求職者の獲得方法は、他の業務とは異なり、多くの工夫とノウハウが求められます。
そこで、今回はIndeedを活用し、求職者の効果的な集客方法や、人材ビジネスにおいて知っておくべき秘訣について詳しく解説します。
目次
派遣も求職者を獲得することに一生懸命
かつては、タウン誌や折り込みチラシ、Web上で求人情報を出すだけで十分に求職者を確保できていたため、多くの人材派遣会社は「派遣先の確保」や「高い時給での派遣」を最優先にしていました。
しかし、2024年現在、派遣ビジネスの根幹である求職者の確保が急激に難しくなり、各社は新たな課題に直面しています。
なぜ人材派遣会社は求職者確保に苦戦しているのか?
その背景には、次のような社会変化が影響しています。
- 労働人口の減少
- 派遣労働へのイメージ変化
- アナログからデジタルへの転換
- IT技術の高度化
- 大手上場企業による採用水準の引き下げ
大手上場企業が採用基準を引き下げる傾向にあり、優秀な人材が以前よりも大企業で採用されやすくなっています。
その結果、中小企業での正社員や派遣社員の確保が一層難しくなり、特に優秀な人材はこれまでと同じ能力でワンランク上の職場に転職しやすい環境が整ってきました。
労働人口が豊富だった時代には考えられなかったこの状況は、派遣会社や中小企業にとっては大きな競争圧力となっています。
求職者の確保という課題をクリアするため、多くの派遣会社は過去の利益を広告費に投入し、他社との求職者獲得競争を強化しています。
また、派遣事業だけでなく、正社員雇用を視野に入れた人材紹介事業に参入する会社も増加しており、正社員雇用を希望する求職者を巡る競争はますます激化しています。
デジタル化と転職心理の変化で「人材の流動性」が高まる
デジタルの進展と転職への心理変化により、以前よりも転職がスムーズに行える時代になっています。
求職者は自身のスキルに応じて上位のポジションを目指しやすくなり、その結果「人材の流動性」が非常に高まっています。
このような状況下で、派遣ビジネスと人材紹介ビジネスのどちらが優位に立てるのかを考えると、時流に合わせた柔軟な対応が求められるといえるでしょう。
また、人材ビジネスで最も難しいと言われる「求職者の獲得方法」にフォーカスし、Indeedのようなプラットフォームを活用した最新の集客戦略についても詳しくご紹介しています。さらに「Indeed」についての記事もありますので参考にしてください。
派遣と紹介の優位性
人材の流動性が高くなるということは紹介事業の方が優位になります。
派遣事業では求職者が働き続けていないと利益が生み出せませんが、人材の流動性が高いと苦労して確保した人材が簡単に離れてしまい、雇用関係が続かず利益が発生しにくくなります。
逆に紹介事業は一人の求職者が生涯で行う転職回数が増えれば増えるほど利益が発生するので、転職の斡旋機会が増えるので優位です。
では、具体的に利益の説明します。
①年収500万円クラスの人材を派遣した場合
ここから社会保険等(会社負担分)の5万円~6万円を差し引くと利益としては5万円~6万円/月となってしまいます。
さらにここから未来的なコストとして有給取得時の賃金や登録者管理のコストを派遣会社が負担します。
派遣事業では同じ登録者にいかに長く働いてもらうかが重要ですが、人材の流動性が高くなった現在では長く働いてもらうことが難しく、利益が小さくなるということです。
今までの人材蓄積がある会社は事業を継続できますが新規参入は難しいかもしれません。
②年収500万円クラスの人を紹介した場合
このように150万円が利益になります。そしてこれには未来的なコストがかかりませんし、もし派遣で同額の手数料を得ようとした場合は約2年間必要となります。
手数料:6万円×24カ月=144万円(未来的なコストを除く)
よって派遣事業社と紹介事業社が同じキーワードで広告(リスティング・リマケなど)の単価競争を行った場合、絶対的に紹介事業が有利(高額な金額を使える)になっています。このことから派遣事業社が本気で人材事業に参入してきています。
直接採用が積極的に求人メディアに参加
人材確保のための新たな戦略
近年、労働人口の減少と景気の回復を背景に、有効求人倍率が高止まりし、企業にとって新卒・中途を問わず採用が難しい状況が続いています。
人材獲得が一層困難になった2024年現在、各企業の採用手法も大きく変わりつつあります。
従来の採用方法といえば、「求人広告の掲載」「人材紹介の活用」「新卒の一括採用」などが主流でした。
しかし、今や求人メディアに掲載しても、多くの企業が人材を求めているために応募が思うように集まりません。
こうした背景から、待ちの姿勢の採用活動から脱却し、企業はより積極的なアプローチを取り始めています。
アグリゲーション求人サイトやSNS広告を活用した新しい採用手法
現在、多くの企業がIndeed、スタンバイ、求人ボックスといったアグリゲーション求人サイトを活用しています。
これに加え、FacebookやInstagramなどのSNS広告、Google広告、さらには自社SNSでの情報発信やイベント開催といった直接的なPR活動を展開し、候補者にリーチしようとしています。
また、ダイレクトリクルーティングを活用し、企業が積極的に人材へ直接アプローチをかける手法も一般的になりつつあります。
求職者をめぐる三つ巴の競争で採用コストが上昇
このような採用活動の変化を受け、求人広告のトップシェアを誇るIndeedも、企業の直接採用を支援する方向に力を入れています。
企業側が複数のメディアや広告手法を駆使するようになった結果、求職者の獲得をめぐって「直接採用企業」「人材紹介」「派遣業界」の三つ巴の競争が激化し、人材確保のコストは年々高騰しています。
このことが、人材紹介事業においても求職者の登録が難しくなっている理由の一つでもあります。
2024年、採用活動の環境は今まで以上に複雑化しています。これからの時代に企業が優秀な人材を確保するためには、従来の手法にこだわらず、多様なアプローチを駆使し、変化する市場に柔軟に対応していくことが必要です。
求職者獲得がますます難しくなる今、変わりゆく採用メディアの最前線
現在、求職者を獲得することが以前にも増して難しくなっています。以前は折り込み広告やタウン誌、求人誌などの紙媒体が主流でしたが、今では地方も含め、デジタルへと急速に移行しています。都心部はもちろん、地域の企業もデジタルを活用せざるを得ない状況にあり、採用活動の姿は大きく変わりつつあるのです。
求職者獲得メディアの変化
紙媒体の終焉とWEBへの完全移行
2025年3月末には、タウンワークの紙媒体版が終了し、群馬に拠点を置く求人ジャーナルもIndeedPLUSとの提携など、WEB集客が新しい形へと移行することが決まっています。求人メディア全体がデジタル中心になり、特にスマホでのアクセスが主流となっています。こうした中で、企業は新しい時代の採用手法への対応を求められています
求職者獲得のカギは「Indeed」にあり
WEBでの求職者獲得も、今や一筋縄ではいかなくなってきました。その中で注目されているのが「Indeed」です。
Indeedは2025年3月末をもって、各採用サイトや求人サイトのクローリングサービスを終了し、今後は各求人サイトがIndeedに掲載されるためには、XMLフィード形式で「Indeedエントリー」を使いIndeedに掲載することに変わります。
そして「Indeedエントリー」が必須となります。この変更により、求人情報の掲載のあり方がさらに高度化され、Indeedの求職者囲い込みがより激しくなります。求職者にリーチするにはIndeedの利用が必須になってくることが予想されます。
Indeedとは?求人界の「Google」ともいえる存在。
最近TVコマーシャルでも目にする機会が増えた「Indeed」は、国内外の求人情報を一括で検索できる便利な求人メディアです。
簡単に言うと、求人情報に特化した「Google」とも言えるサービスで、求職者にとっては職種や条件に合わせて数多くの求人を簡単に探せる強力なツールです。
Indeedの誕生と進化
Indeedは元々、海外で生まれたサービスでしたが、2012年にリクルートが推定1,100億円で買収したことで、日本でも広く浸透しました。
当初は求人情報を掲載しているページを「クローリング」してタイムリーに表示する仕組みでしたが、今ではさらに強力な採用ツールへと進化しています。
求人掲載の必須ツールに
Indeedがあまりにも強力なプラットフォームとなった今、特に人気の職種ではIndeedに求人を掲載しなければ十分な応募が集まらない状況が生まれています。
さらに、Indeedはリクルート系の求人サイトやその他の提携サイトにも求人情報を拡散する「IndeedPLUS」というサービスを提供しており、転職サイトを利用する求職者の約7割にリーチできる大規模なネットワークが形成されています。
このため、企業は求職者に効率的にアプローチでき、求職者も多様な選択肢から自分に合った仕事を見つけやすくなっています。
ハイスペック転職も対応が進む
Indeedは従来、管理職や専門職などの「ハイスペック転職」には若干苦手な面がありましたが、リクナビNEXTなどのハイキャリア向けサービスもIndeedPLUS経由で表示されるようになり、今後はこの分野でも一層強力な存在になると予想されます。
今や、Indeedは単なる求人メディアを超え、あらゆる求職者と企業をつなぐ不可欠なプラットフォームとなっています。
SNSとSNS広告の効果的な活用法:「いいね」に惑わされない採用戦略とは
Twitter、Facebook、Instagram、TikTokなど、皆さんも普段から利用しているSNSには、それぞれに独自のユーザー層とサービスの特徴があります。
しかし、SNSの運用や広告活用をただユーザー数の多さだけで判断するのは難しいものです。
例えば、Facebookは年齢層が高め、TikTokは若年層、Instagramは特に女性ユーザーに人気といった特性があるため、こうした違いを考慮した戦略が求められます。
効果を上げるためには「日常の投稿」と「広告」を組み合わせる
最近の傾向として、広告だけに頼るのではなく、日頃からSNSに投稿をしながら広告を運用することで、より高い効果が得られるとされています。
日常的な投稿を続けることは決して簡単ではありませんが、広告の効果を上げるには欠かせない取り組みです。
また、SNS広告は配信対象の属性を細かくセグメントし、ピンポイントで届けることができるのが最大のメリットです。
しかし、それを実現するためにはSNSの特性を深く理解し、運用チームを組むことが不可欠で、簡単なことではありません。
「いいね」や「シェア」はゴールではない
SNS運用でよく見かけるのが、「いいね」や「シェア」の数を増やすことに注力しがちなパターンです。
確かに「いいね」が増えると注目度も高まりますが、企業が最終的に求めているのは求職者の登録や採用に結びつくことであり、「いいね」が多ければそれが利益に直結するわけではありません。
SNSが盛り上がり話題になっても、求職者がサイトに登録してくれるかはまた別の話です。
求職者の登録に結びつくためには、投稿や広告だけでなく、求人サイトそのものの使いやすさや情報の充実度も重要です。
例えば、街中やCMで見かけた商品も、実際に内容が良くなければ購入しないのと同じです。
SNS効果の「罠」に惑わされないように
多くの「いいね」は、確かに目標として設定しやすいですが、過度に競争心をあおる場合もあります。
SNS運用には、予算やリソースをうまく活用することが必要ですが、経費を使いすぎないように注意が必要です。
SNS広告はあくまで手段であり、最終目標を見失わず、求職者にとって魅力的なサイト運用やコンテンツの質を高めることが、採用成功への道と言えるでしょう。
ITの高度化とAIの進化が変える人材ビジネスの未来
ITの進化とAIの登場により、人材ビジネスは大きな変革を迎えています。特に、求職者の獲得がビジネス成功の鍵を握る人材業界にとって、AIの進化は避けては通れない影響をもたらしています。
今や、求職者獲得の優先度が高い「Indeed」のマッチングも、ほぼAIによって自動化されており、求職者と求人の最適な組み合わせをAIが瞬時に行っています。
IndeedPLUSがもたらす新たなマッチングの世界
2024年にスタートした「IndeedPLUS」は、Indeedに掲載した求人情報が他の求人サイト(タウンワーク、リクナビNEXT、とらばーゆ、求人ジャーナルなど)にも自動的に掲載されるサービスです。
さらに、2025年4月からは、リクルート系の求人サイト(タウンワーク、リクナビNEXT、とらばーゆなど)に求人を掲載するには、「IndeedPLUS」経由が必須となります。
このため、Indeedに求人を掲載することで、リクルート系やその他の提携求人サイトにも同時掲載される仕組みが整っています。
AIによる自動マッチングでスピーディーな採用活動
「IndeedPLUS」ではAIが求職者に最適な求人を選んでマッチングを行うため、掲載側が特定の求人サイトを選ぶことはできませんが、マッチングがより迅速かつ正確に行われるメリットがあります。
AI管理により、求人情報と求職者の接点が増え、マッチングがスピーディーになりつつあります。
Indeed掲載方法による注意点
ただし、「IndeedPLUS」を利用するには、Indeedへの直接投稿や対応するATS(採用管理システム)を通じて求人を掲載する必要があります。
非対応ATSの求人やクローリングによる求人情報については、Indeed内の掲載のみが対象となるためご注意ください。
一方で、他の求人サイトには掲載したくない場合は、Indeedのクローリング機能を使ってIndeed内のみの掲載とすることも可能です。このように、ニーズに応じた掲載方法を選び、IndeedPLUSを有効活用しましょう。
人材ビジネス成功のための重要戦略
では、ITとAIの発展による変化の中で、人材ビジネスが求職者を効率的に獲得するためには何が必要なのでしょうか。大きな影響をもたらす、戦略に注目してみましょう。
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求人サイトの制作と運営
求人サイトはただ情報を掲載するだけでなく、IT技術を駆使した使いやすさやアクセス性が求められます。求職者にとって魅力的で見やすいサイト運営を行うことが、競合と差をつける第一歩です。また、最終的には広告に依存しなくても月登録の7割をオーガニック(無料登録)でとれるような求人サイトを目標にしましょう。
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広告との連携・コントロール
AIによるマッチングが進化しているからこそ、広告を通じた求職者とのコンタクトもますます重要です。しかし、人手不足から求職者獲得単価は高くなる一方です。ターゲット層(ペルソナ)を明確にして効果的な広告出稿を行い、求職者が集める仕組作りを整えましょう。
ITの高度化とAIの活用が進む中、人材ビジネスは今後ますます複雑化し、競争も激化していくでしょう。だからこそ、変化に対応し、求人サイトと広告を連動させてシンプルに管理を行い、求人サイトを中心にIndeed・スタンバイ・求人ボックスなどの広告を配信していくことが重要になってきます。
インターネットというのは全国の求職者を集められる反面、全国の競合他社との競争になります。
紹介会社同士の競争、派遣会社との競争、直接応募との競争、求人メディアとの競争、さらに言えばindeedとの競争です。
indeedとの競争とは?と思われるかも知れませんが、indeedは求人メディアです。求人メディアということは、Google・Yahooのリスティング・リマケ広告、アプリ広告など様々な広告や施策で当然バッティングします。
そしてインターネットで求職者を集める際の避けては通れないのが大手企業です。
大手企業の恐ろしさは制作費や広告費の額だけではなくPDCA(仮説検証)を繰り返すことで目的達成の精度を高めてくることです。中小企業においてもPDCAを繰り返すことが重要ですが、目先の業務に追われてPDCAを十分に行えないのが実情ではないでしょうか。
ですから他社との競争に勝ってサイトに訪問してきたユーザーを無駄にしない求人サイトにしなければならないのです。しかしこれは大変高度なことです。
まとめ
人材ビジネスはリボン型や砂時計型などと言われ、右(企業)・左(求職者)をマッチングするビジネスです。求職者の売り手市場と言われる今は企業開拓はさほど困難ではなく求職者を獲得することが最大の課題です。
カテゴリ・職種を決め求職者の獲得を追求し獲得できれば事業の成功が見えてきます。indeedがスピィーディーに変化を起こしています。まずはIndeedの仕様を理解して自社にあった使い方を行い、無駄なく効率よく求職者を集めていきましょう。これが人材ビジネス成功の第一歩です。
ナレッジルーム採用WEBマーケコンサルタント 石井
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