自動車整備士の5人に1人が外国籍に──若手・有資格の外国人材が業界構造を変える可能性

ニュース:自動車整備士の5人に1人が外国籍に

自動車業界専門の求人サイト「カーワク」を運営する株式会社アプティは、自社に寄せられた転職相談データをもとに、自動車整備士における外国籍人材の動向に関する独自調査結果を発表しました。調査によると、整備士求職者の約5人に1人が外国籍であり、その過半数が国家資格を保有していることが明らかになっています。

平均年齢が50歳を超えるとされる日本の自動車整備業界において、若手かつ有資格の外国籍人材が新たな中核層として存在感を高めている実態が、データとして示されました。

外国籍整備士は3年で約2倍に増加

今回の調査は、2022年から2025年10月までに「カーワク」に寄せられた11,689件の転職相談データを分析したものです。その結果、外国籍求職者の比率は2022年の9.2%から2024年には20.8%へと、約2倍に増加しました。2025年はやや減少したものの、依然として高水準を維持しています。

この結果から、自動車整備士の転職市場において、外国籍人材が「例外的な存在」ではなく、すでに一定のボリュームを持つ層として定着しつつあることがうかがえます。

過半数が国家資格保有、即戦力人材が中心に

注目すべき点として、外国籍整備士の51.5%が国家整備士資格を保有していることが挙げられます。単なる人手不足対策としての補助的な人材ではなく、日本の制度のもとで資格を取得し、現場経験を積んだ「即戦力層」が増えていることを示しています。

これにより、外国籍人材に対する採用姿勢も、これまでの「コスト重視」から、「評価・待遇を含めた戦力としての採用」へと転換を迫られている状況が浮き彫りになっています。

若手が9割、業界の高齢化に歯止めとなる可能性

年齢構成を見ると、外国籍整備士の約9割が39歳以下で、特に29歳以下が半数以上を占めています。一方、日本人整備士では50歳以上が大きな割合を占めており、世代構成の違いは明確です。

慢性的な人材不足と高齢化が進む整備業界において、若手外国籍人材は単なる補完要員ではなく、将来の主力人材として業界構造そのものを支える存在になりつつあると言えます。

就労希望は都市部集中、地方には受け入れ課題も

就労希望エリアは、関東を中心とした都市部に集中する傾向が見られました。背景には、生活環境、同国籍コミュニティの存在、雇用機会の多さなどがあり、地方では受け入れ体制や生活支援の不足が課題として浮かび上がっています。

一方で、地方工場では社宅の提供や生活支援、メンター制度などを整えることで採用に成功している事例もあり、「仕事+生活インフラ」を一体で提示できるかが今後の分かれ目となりそうです。

編集部コメント

自動車整備業界は、長年にわたり高齢化と人材不足という構造的課題を抱えてきました。今回の調査結果は、その解決策の一つとして、外国籍人材がすでに「量」だけでなく「質」の面でも重要な役割を担い始めていることを示しています。

単に外国人を受け入れるかどうかではなく、いかに定着し、長く活躍してもらうか。評価制度やキャリアパス、生活面を含めた受け入れ体制の整備が、今後ますます重要になるでしょう。

日本全体で人材不足が常態化する中、業界の常識を変えるような動きが、整備業界でも着実に進んでいることを感じさせる調査結果です。今後もこの分野の動向には、引き続き注目していきたいところです。

PR TIMES/同社ニュースより転載12月16日発表プレスリリース
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA30CQ70Q5A430C2000000/

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