【職業紹介向け】重要事項丸わかり!平成29年改正 職業安定法説明会レポート

職業安定法が改正され平成30年1月1日より施行されます。

人材紹介業や派遣業を行われている方は改正されることはご存知だと思いますが、実際に何がどう変わるのか?ご存知でない方も多くいらっしゃるかと思います。

私は早速、10月24日(火)に日本教育会館で東京労働局が行う職業紹介事業者向け改正職業安定法説明会に参加してきました。

法改正に伴い関連する指針や運営要領等が変更・追加されましたので説明会での内容をレポートします。なお、説明会の内容以外にも変更等ありますので、そちらについては改めてこのブログで説明していきます。

職業安定法改正の経緯

社会経済の変化に伴い職業紹介事業や募集情報等提供事業者の事業の多様化が進んだことにより、法改正に至りました。

基本的な方針としては以下のようになります。

  • 求職者等が不利益を被るなど不適切な事案に対して的確に対応する。
  • 求職と求人のより適切かつ円滑なマッチングを進めていく。
  • その役割に応じて適格性が確保され責任が果たされる必要がある。
  • 求職者保護を基本としつつ、能力に適合した職業に就けるようにする。
  • 求職者及び求人者の利便性を向上させる必要がある。

このことを念頭に実際に変更・追加された内容をご紹介します。

労働条件等の明示

職業安定法第(5条の3第1項または第2項)の明示義務に、明示事項の追加、遵守すべき事項の明確化等が行われました。

書面等により明示する項目

これまでと同様の項目

業務内容、契約期間、就業場所、労働時間、賃金、社会・労働保険の加入状況

追加された項目

試用期間の有無及び内容、募集主・求人者の氏名又は名称、派遣労働者として雇用使用とする場合はその旨

明確化された内容

裁量労働制が採用される場合はその旨の明記、固定残業代の詳細

固定残業代の具体的な記載方法

固定残業代制を採用する場合、1~3の内容を記載する必要があります。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 固定残業代に関する労働時間数と計算方法
  3. 固定残業時間を超える時間外労働と休日労働・深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

固定残業代を除いた基本給の額
基本給:●●円と記載し、固定残業代を含まない金額を記載します。

固定残業代に関する労働時間数と計算方法
▲▲手当:時間外労働の有無に関わらず××時間分の時間外手当として○○円を支給(▲▲手当は実際にその企業が採用している名称等を利用)

固定残業時間を超える時間外労働と休日労働・深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
××時間を超える時間外労働についての割増賃金は追加で支給

このように、固定残業代を含まない金額と固定残業代、固定残業時間、その他の時間外、休日、深夜労働に対する割増賃金支払いを記載する必要があります。

遵守すべきとされた事項

有期契約が試用期間としての性質を持つ場合は、その契約期間中の労働条件を明示しなければならない。

試用期間と本採用が一つの労働契約であっても、試用期間と本採用の条件が異なる場合はそれぞれ明記しなければならない。

記載欄が足りないなどやむを得ない場合は別途明示する旨を記載して、詳細を別の方法で明示することが出来る。

原則、求職者と最初に接触する時点までに労働条件の明示を行わなればならない。

以上の事項がありますが、人材求人サイトで集客を行う場合、最初に接触する時点までとなると最初に接触するのは、会員登録後になりますのでその前というとサイト上の求人ということになってしまいます。

この後に紹介しますが、このタイミングでの明示と面接後の条件の明示内容で安易に変更してはならないなどの指針があり不特定多数が閲覧する人材求人サイトでは条件を特定することが不可能ですし、募集主の名称も明示するという内容も項目に入りましたが、非公開求人とすることが出来なくなってしまいます。

この内容を労働局に確認したところ、求人サイトの登録は求職者としての登録とみなさなくて良いとの回答を得ましたので、大きな心配は必要ないでしょう。

労働契約締結前の労働条件の明示

求職者が労働契約締結前に、求人票等に記載のある条件と異なる内容が含まれていないか確認できるように、求人の紹介時と異なる内容を明示しなければならない。

通知は変更内容の前後が確認できるようにし、原則書面で行う。(求職者が希望した場合は電子メールも可能です。)

また、労働条件通知書で変更内容を通知することもできるが、それ以前の段階で変更点を求職者に明示するのが望ましい。

労働条件通知書で変更内容を通知する場合は、変更内容に「下線」、「着色」、「注記」する必要があり、削除された内容がある場合は、削除された内容を記載し削除した旨が分かるようにする。

要するに、労働契約を締結する前に十分に検討する時間を確保することと、変更内容を分かりやすく明示しなさいということです。

ただ、変更が出来るとはいえ、求職者は求人票に記載されている条件そのままが労働契約の内容になると思っているので、安易に変更等を行ってはならず、また紹介時から適切な内容を提示出来るようにしておくことも指針に盛り込まれています。

職業紹介事業者に関する情報提供

職業紹介事業者に運営実績の詳細な情報提供を義務付け、求職者が紹介事業者等を選びやすくなります。

事業報告書での報告項目が増えるのと厚生労働省の人材サービス総合サイトへ掲載するための情報入力が必要となります。

事業報告書での報告項目

事業報告書での追加項目は以下のようになります。

就職した求職者の常用の欄が「無期雇用」か「4ヶ月以上の有期雇用」を合算して記入していたものが、無期雇用とその他(4ヶ月以上の有期雇用)の2項目に分かれます。

無期雇用で入職後6ヶ月以内で解雇を除き離職した人数と、在職しているか確認できなかった人数をそれぞれ記入する。(翌年度に離職しても、入職日の年度で集計する。)
ただし、6ヶ月以内の離職になるので、年度末で集計⇒即報告してしまうと集計後に離職する可能性もあるので、離職者の人数は次年度に報告することになります。
また、29年度分の離職については任意の為、報告する必要はありません。(離職が把握できている場合は記入しても問題ありません)

その他に返戻金制度の有無と、有の場合の概要と従業員教育の実施内容等を記載する必要があります。

人材サービス総合サイトの情報入力

厚生労働省が運営する人材サービス総合サイトに各紹介会社の実績等を掲載するための情報入力が義務付けられます。

まだ、詳細な情報が公開されていないので細かいことはわかりませんが、就職者数(無期、4ヶ月以上の有期、臨時、日雇)・6ヶ月以内の離職者数・在籍が確認できなかった数と手数料に関する事項、返戻金制度を入力するようです。また、人材サービス総合サイトへ掲載するための情報入力は事業者自身で入力する必要があります。

求職者や離職者などは毎年入力の必要がありますが、手数料と返戻金については初回入力後、変更があった場合のみ入力する必要があります。(手数料と返戻金は変更があった場合には届け出も必要です。人材サービス総合サイトはあくまでも求職者への情報提供です。)

なお、入力するサイトのURL、ID、パスワードなどは11月最終週に厚生労働省より通知が届く予定になっているとのことでした。また、入力は第三者に委託しても良いそうです。

人材サービス総合サイトへの情報入力と事業報告書のタイムチャート

人材サービス総合サイトへの情報入力

入力時期 集計期間 入力項目 備考
平成30年1月中 平成28年度 就職数、手数料規程、返戻金の規定 離職者数は不要
平成30年4月中 平成29年度 就職数 改正法が施行されているが、離職者数は不要
平成30年10~12月 平成29年度 無期雇用就職者と無期雇用で6ヶ月以内の離職 任意
※集計できれば可能な限り入力
平成31年4月中 平成30年度 就職者数 無期雇用就職者数の情報提供が義務になる
(無期・有期を分け入力)
平成31年10~12月 平成30年度 無期雇用で6ヶ月以内の離職と在職が確認できなかった数 無期雇用で6ヶ月以内の離職と在職が確認できなかった数の提供が義務になる
以下4月と10~12月の入力を毎年行う。

 

事業報告

報告時期 集計期間 報告様式 備考
平成30年4月中 平成29年度 旧様式(28年度までの報告に使用していたものと同様) 今まで通り。有期・無期、離職者の記載は不要
平成31年4月中 平成30年度 新様式 有期・無期を分ける、返戻金制度、従業員教育を記載
※29年度に無期雇用で就職し離職した数の報告は不要
平成32年4月中 平成31年度 新様式 有期・無期を分ける、返戻金制度、従業員教育を記載
※30年度に無期雇用で就職し離職した数の報告が必要

6ヶ月以内の無期雇用者の調査

情報提供の義務化に伴い、無期雇用で入職し、入職から6カ月以内に離職(解雇を除く)した数を報告する必要があります。

既に在職確認を定期的に行っている事業者は集計・報告だけで済みますが、在職確認を行っていない事業者は在職確認を行う必要があります。

確認の方法は特に決められていないので、求職者単位で確認しても良いですし、複数人が同じ法人に入職している場合は一括で行ったほうが、採用の担当者も手間がかからずに良いでしょう。

様式例:離職者の調査依頼状

雇用状況については個人情報の為、教えられないなど言われてしまうこともあると思いますが、求人者(採用した企業)は可能な限り協力することも今回の法改正に伴う指針の改正の中に盛り込まれているので協力が必要です。

ただ、予め企業と契約をする際等に在職確認があるという説明や運営規定などに盛り込んで置くなどしておいた方がトラブルを避けられます。

様式例:業務の運営に関する規定

なお、何らかの事情で在職状況が確認できなかった場合は不明として6カ月以内の離職とは別に集計し記入します。

職業安定法に基づく指針の改正

職業安定法の改正に基づき職業紹介事業者の業務運営についても指針の改正が行われました。

改正の趣旨としては、就職してから短期間で転職するよう求職者に勧奨し、繰り返し手数料を得ようとすることを防止するというものです。

以下の内容は繰り返し手数料を得ようとする場合に多く見られる手法です。ただ、完全に禁止・指定していないこともあるので、あいまいな部分もあります。

  • 紹介した求職者に対し、就職した日から2年間、転職の勧奨を行ってはならない。
  • 求人者から徴収する手数料に返戻金制度を設けることが望ましい。
  • 求職者・求人者双方に対して求職者から徴収する手数料と求人者から徴収する手数料の双方を明示しなければならず、返戻金制度の有無とその内容も明示する。
  • 求職の申し込みの勧奨については、求職者に金銭等(例:いわゆる「お祝い金」)を提供することによって行うのは好ましくない。

なお、一番上の転職の勧奨については、有期雇用の場合は雇用期間が決められていますので、対象外です。また、無期雇用であっても求職者本人の方から再転職の相談してきた場合は該当しません

教育制度・情報周知の強化

教育制度

従来は職業紹介責任者のみが講習を受けていましたが、今後は職業紹介責任者がその他の従業員に対して労働関係法令等の必要な教育を行わせることが決まりました。

ただ、「必要な教育」といってもどういった教育を行えばよいかということになりますが、厚生労働省から公益社団法人 全国民営職業紹介事業協会(民紹協)に委託する形式で従事者講習を行うことになっています。従事者講習へ参加することで教育の実施と同様に評価する方針だそうです。

この講習は「タイムリー」「実務的」をコンセプトに1~2月の間に全国で12回行われる予定で、内容は1~3時限目は講義、4時限目はワークショップと言う形式で半日かけて行われる予定です。また受講費や使用するテキストは無料となっており、事前に民紹協のホームページでテキストを確認することもできます。

民紹協ホームページ:http://www.minshokyo.or.jp
※平成29年10月25日現在まだテキスト等は公開されていないようです。

また、職業紹介責任者講習についても変更が行われ、従来は「新規講習」と「継続講習」に分かれていて、新規受講者のみが必修となっている科目が、今後は継続であっても必修となりました。また、講習内容に労働関係法令等の改正の動向や他の従業員に対する教育方法が追加されます。

そして、まだ実施内容などの詳細は決まっていないとのことでしたが、理解度確認のために試験を実施し合格することが講習修了要件になります。

情報周知

職業紹介責任者については、定期的に労働関係法令等の改正に関する情報を把握できるように厚生労働省人事労務マガジン(いわゆるメルマガ)に登録しなければならなくなります。ただし、インターネット環境がない等でメルマガが受信できない場合は職業紹介事業者の団体等から、メルマガが配信される都度、郵送等で内容を確認しても良いそうです。

厚生労働省人事労務マガジン登録URL:https://merumaga.mhlw.go.jp/

なお、職業紹介責任者となっていますが、職業紹介に従事する従業員全員に届くようなアドレスを登録しておくと良いと思います。

業務運用の明確化

既に施行されているものも含め業務運営要領に明確化されました。

賃金による範囲の限定

職業紹介では取扱職種の範囲等の届出等により、取扱職種を限定することが認められていますが、賃金による範囲の限定の事例が例示されました。ただ、この内容は変更された内容ではなく明確化された内容になります。

例:時給1,000円以上の求人、月給30万円以上の求人など

業務提携

職業紹介事業者間の業務提携については、提携先に関する情報を提示したうえで、求職等の提供についてで同意を得れば複数の職業紹介事業者と業務提携が可能であると明記されました。

ただ、ここで注意するのは、求職者から事前に提携先に情報を開示する等の同意を得る必要があります。また、業務提携は双方とも紹介業の届出・許可されている必要があり、当面は提携先は10社以内とされています。

また、労働条件明示については求人者⇒求人受理事業者⇒求職受理事業者⇒求職者という流れで明示することが原則となるのと、求職受理・求人受理とも複数の事業者で行われることがあることに注意が必要です。

事業所外の職業紹介実施

事業所外での事業の実施について、職業紹介責任者がその場所に速やかに到着できる場合でその場所が事業所に関する許可基準と同等のプライバシー保護や個人情報保護の措置が実施できる場合に可能とされています。

ただ、この内容は臨時や出張相談を想定していますので、拠点を設けて職業紹介を行う場合は届け出が必要になります。

求人・求職管理簿の項目の追加

情報提供や指針の改正により求人管理簿と求職管理簿の記載に追加される項目があります。

追加項目は求人管理簿も求職管理簿も同じ項目・内容になり、いずれも採用された場合になります。

なお、新しい様式はまだ確認できませんでした。

追加項目

採用された場合・・・採用年月日、期間の定めの有無

期間の定めが「無」の場合・・・採用日から2年後(転職勧奨禁止時期)
例)平成30年5月1日採用の場合32年4月30日を記載(採用日の2年後の前日)

期間の定めが「無」で離職した場合・・・離職が使用後6カ月以内か否か(解雇は除く)

離職が判明しなかった場合(どちらかを記載)・・・離職調査方法及び年月日、6カ月以内の離職により返戻金制度で返金が行われたか否か

求人の不受理

現行では受理しない(不受理)とすることが出来るのは、法令違反の求人とされていますが、就業後のトラブルを未然に防止するため、一定の規程に違反した求人者の求人を受理しない(不受理)ことが出来るようになります。

規程としては、労働基準法、最低賃金法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法、職業安定法に違反し、是正勧告を受けたり公表された求人者となります。

ただ、この内容は公布から3年以内の施行となっており、現在(平成29年10月25日)は施行日が決まっていません。

職業紹介事業の許可更新申請期限の前倒し

既に実施されていて、ご存知の方も多いと思いますが、有効期間満了の30日前までの更新申請が、更新申請期限が前倒しになり3ヶ月前までに更新申請を行う必要があります。

なお、更新申請期限の1ヶ月半前に文書で通知が来るとのことですが、万が一、通知が届かない場合や更新を忘れてしまうと事業の存続に関わりますので、余裕を持った日程で更新が行えるようにアラート等を設定しておきましょう。

 

以上の内容が、10月24日(火)に日本教育会館で行われた改正職業安定法説明会の内容でした。

印象としては職業紹介を行う上で重要な部分の説明だったと思います。また、個別の事案等は説明がありませんでしたので、実際の業務に落とし込んだ時に様々な疑問点が浮かんでくるとは思います。

ただ、実際に法令の改正前後の内容を自分で読むよりは遥かに理解しやすい内容でした。

なお、改正職業安定法説明会で説明されなかった部分については、改めてこのブログで説明していきます。

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