今、採用の現場ではAIが「なくてはならない存在」になりつつあります。リクルートワークスの最新インタビュー記事「HRテック進化の5年――AIと共存する採用の未来」では、アメリカのHR分野の第一人者であるCareerXroads共同代表、ジェリー・クリスピン氏への取材を通じ、ここ5年間でのHRテクノロジーの進化と、AIがもたらす採用の未来像が語られています。
この記事では、特に次の5つのポイントが深く掘り下げられています。
1. 採用の「探す」工程はAIに任せる時代へ
候補者探索を担うソーシングツールはすでに成熟期に突入。自動化・統合化が進み、単機能だったツールが、採用マーケティングやブランディングなどの機能を備えた「統合型HRプラットフォーム」へと進化しています。
たとえば、BeameryやPhenomといったベンダーは、企業の採用キャンペーンを支えるだけでなく、候補者とのエンゲージメント向上にも貢献しています。
2. AIによる面接支援が当たり前に
面接の準備、進行、フィードバックまでAIがサポートする時代が到来しています。AIが候補者の情報を要約し、リアルタイムで面接官にアドバイスを提供、さらに会話の内容を自動で要約してスコアリングするなど、採用の質と効率を両立するツールが続々と登場しています。
応募者との対話を深めるために、リクルーターは定型業務から解放され、「人間らしい判断」に集中できるようになるという変化が見込まれています。
3. アセスメントは「スキル」から「学習能力」へ
これまで重視されていたスキルチェックは、今後「どれだけ早く新しいスキルを習得できるか」という「学習能力」へと重心が移ると予想されています。Plumのように、候補者のモチベーションや意思決定プロセスに着目したアセスメントツールも登場しており、企業と候補者のより深いマッチングが可能になります。
4. フェアネスと透明性の確保が課題に
AIの活用が進む一方で、評価の根拠やアルゴリズムの透明性をどう担保するかが問われています。AIのバイアスを軽減し、候補者に公正な評価体験を提供するためには、AI監査やガイドラインの整備が不可欠です。現時点で十分な体制が整っている企業はまだ少数ですが、今後の重要課題となるでしょう。
5. 求職者もAIを駆使する時代に突入
興味深いのは、企業だけでなく求職者も積極的にAIを活用しているという点です。ChatGPTで履歴書を最適化し、Microsoft Copilotで面接練習を行うといった動きが一般化してきました。採用の両サイドでAIが活用される時代となり、今後は「AIリテラシー」そのものが新たな評価軸になる可能性もあります。
編集部コメント
日本では「人手不足」が慢性化し、多くの業界が採用難に直面しています。しかし、AIの急速な進化とHRテクノロジーの革新により、これまでの採用の常識を大きく変えるようなサービスが次々と登場しています。
AIが単に採用活動を支援するだけでなく、候補者との関係構築やフィードバックの質を高め、人間らしい選考体験を提供することで、採用の現場に新しい価値をもたらしつつあります。
日本で人材不足が当たり前になっていますが、AIのさらなる進化と利用により、今までの常識を変えるようなサービスがどんどん出てくるような未来を感じます。今後もこのようなサービスには目が離せないですね。
AIと共存することで、採用の現場に「人間味」を取り戻す。そんな未来が、すでに現実になりつつあるのかもしれません。
リクルートワークス研究所 /同社コラム記事より転載 2025年11月7日発表 コラム記事
https://www.works-i.com/research/labour/column/aihr/detail011.html















