ニュース要約
米国の求人検索大手Indeed(インディード)と、社員レビューサイトを運営するGlassdoor(グラスドア)は、2025年に約1,300人の人員削減と事業統合を実施すると発表しました。両社は日本のリクルートホールディングス傘下にあり、今回のリストラはAI技術への経営資源集中と組織の効率化を狙いとしたものです。
主な対象は米国の研究開発部門や人事・サステナビリティ部門であり、グラスドアの機能はインディードに統合され、採用体験の簡素化が目指されます。また、グラスドアのCEOであるクリスチャン・サザーランド・ウォン氏は2025年10月1日をもって退任する予定です。
インディードのCEOには、かつて同社を率いていた出木場久征氏が復帰。AIを活用して採用プロセスを迅速化する方針を掲げており、今回の統合もその一環とされています。
これに先立ち、インディードは2023年、2024年にもリストラを実施しており、2024年5月には全従業員の8%にあたる1,000人の削減を発表していました。
コメント
AIによる構造改革が進む米インディード、日本の採用市場にも波及か
今回のニュースは、米インディードとグラスドアがAI戦略を本格化させるために組織再編に踏み切ったという、極めて象徴的な動きといえます。
2023年、2024年、そして2025年と、3年連続でリストラを発表しているインディード。その背景には、生成AIの急速な進化により、採用業務そのものが大きく変わろうとしている現実があります。
今回の発表では、出木場CEOが「AIが世界を変えている。われわれは変化に適応しなければならない」と述べており、まさにAIを中核に据えた経営戦略への転換を象徴しています。研究開発部門やサステナビリティ部門のスリム化は、これからのHRテック企業が成果が出る分野に集中する姿勢を強く打ち出していることを意味します。
そしてこの動きは、日本市場にも少なからず影響を与える可能性があります。
実際にリクルートグループは、日本国内でもタウンワークやリクナビNEXTの紙媒体から撤退し、タウンワークやリクナビNEXTの求人情報はIndeedから掲載する(求人流用)化をおこなっており、これは、採用活動の効率化とデータ活用による最適化を志向している証拠です。
AIを活用して求人情報を自動的にマッチングし、面接の最適なスケジューリングまで自動化する世界──それは遠い未来の話ではなく、今まさに構築されつつある現実です。
国が運営するハローワークが9割以上“空振り”する一方で、Indeedのような民間HRテック企業は、精度・スピード・最適化を武器に新しい労働市場のルールを作りつつあると言えるでしょう。
日本の採用情報や労働環境に最も大きな影響力を持つ企業のひとつ、Indeedの動きは、労働の未来そのものを示唆する動きです。今後の展開から目が離せません。